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「サルバドールの朝」

07/09/25 日比谷シャンテシネ 原題 Salvador(Puig Antich) [監]マヌエル・ウエルガ [脚]ルイス・アルカラーソ [出]ダニエル・ブリュール  レオノール・ワトリング  2006スペイン/135分
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刑場に引かれて行くサルバドール  All cinema on lineより

 世の中を変えるため、アナキスト・グループに身を投じたサルバドール。銀行強盗にも手を染めた彼は、やがて警官殺しの罪で逮捕される。しかも、銃弾が飛び交う中での一瞬のことであり、彼の放った弾で死亡に至ったと断定不可にもかかわらず、彼は死刑を求刑される。彼の弁護士や姉妹による必死の恩赦の願いも空しく、死刑執行時刻が迫る。

 これは1972-74年ごろ、スペインがフランコ独裁体制下にある時代、若者たちを中心にした反体制派とそれを押し止めようとする警察がバルセロナの中心街で衝突するシーンから始まる、実話を基にした作品。全編、これ彩度を下げて青白いトーンにして緊迫感を出している。後半は収監された後の主人公と看守との交流や、妹たちとのやり取りが中心に描かれる。死刑執行シーンはこれまでのどの映画よりむごたらしく、顔をそむけたくなる。あぁいう処刑方法があるとは知らなかった。

 そもそも主人公が何故そうしたグループに身を投ずることになったか、背景説明がなく、何となく加わったような印象で、その辺りの迫力を欠く。銀行強盗して強奪した金を労働者に配分するなどという名目を立てるも肝心の労働者に断られてしまうと言うチグハグぶりで、計画も粗雑で、さっさと警察につかまらないのが不思議なほど。

 マヌエル・ウエルガ監督、日本公開作品はこれが最初。テレビ映画などを中心に監督経験があるが、目だった作品はないようだ。主役のダニエル・ブリュール、ドイツ人で、最初に見た作品は「グッバイ・レーニン」。その後、「ラベンダーの咲く庭で」「戦場のアリア」でが、独、英、仏映画に出演、今回はスペイン映画となかなか幅広い活躍ぶりだ。スペイン語はもちろんカタルーニャ語も見事に操っている。ヨーロッパ人たるもの、これは当然。

 ということで、これはスペイン映画というより、カタルーニャ映画と言った方がより適切だろう。クレジットも全てカタロニア語であり、映画の中でもカタルニア語がふんだんに出てくる。特に、サルバドールが収監されて、会いに来る身内とカタルーニャ語でやりとりする場面で看守がそれを禁じるところがある。飽くまでもスペイン語、つまりカスティリア語でしゃべれと強制するわけだ。
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妹が多いサルバドール(All Cinema on Line)

この邦題、どこかで聞いたことがあると思ったら、20年ほど前に、「レナードの朝」という作品があった。30年も植物人間になったままの主人公レナードがある朝、奇跡的に意識を取り戻すと言う話。レナードに扮したのはロバート・デ・ニーロ。

 もう一人、この作品を見たいと思ったのはレオノール・ワトリングが出演していたこと。偶然ながら、2001年の「マルティーナは海」から始まって、「トーク・トゥ・ハー」「タブロイド」「バッド・エジュケーション」「パリ、ジュテーム」と出演作はほとんど見ている。マドリッド生まれの生粋のスペイン人だが、うれいを含んだ黒い瞳がたまらない魅力。本作では、残念ながら端役。

#50

by grappa-tei | 2007-09-26 08:10


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