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「佐倉義民傳」

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この演目の初演が1851年と、随分古いことは知らなかった。よく知らないまま、bunkamuraが比較的近いという理由でチケットを買ってあったが、期待をはるかに上回る内容だった。

今回は2階正面最前列という、割によい位置に陣取った。階下を見下ろすと、1階の前方は今回歌舞伎ということで桟敷席にしつらえてある。平土間とはよく言ったものだ。雰囲気は上々だろうが、背もたれがないから、長丁場は疲れそうだ。余程お好きな方たちの席だろう。靴も脱いで、備え付けのビニール袋に収納し、そばに置かないといけない。窮屈ぶりは大相撲の升席を思い出した。

開演前に舞台でも撮影しようと思ったか、ピカッと光らした人が近くにいて、早速係員がどこからともなく登場、撮影画像消去の確認までやっていた。ここも相当厳しそう。今日は残念ながらカメラ持参せず。

コクーンシアターは以前「12人の怒れる男」で来ているが、その時は舞台の周囲に特設席を設けて、役者は360度を意識して演技するから大変だったろう。ここは自在に観客席の調整が可能な点、あらゆる演芸に対応できそうだ。

2階席にも歌舞伎常連さんが結構多く、開幕してしばらくすると、さっそく左右から「成駒屋!」の掛け声。その後も、左右からひんぱんにかかる。オペラのブラーヴォと違って、余程の歌舞伎通出ない限り、真似は禁物。下手なところでかけようものなら、それこそ大ブーイングだろう。あれを掛けたくて見に来てる客もいる様子。そうなると、平場でなく、大向こうでないとね。今日は初めて女性の掛け声を聞いた。

なにしろこの演目を初めて見る訳だから、滅多なことは言えないが、冒頭、百姓姿の男衆が出て来て、いきなりラップを始めたのにはたまげた。これで筋書きの一部を紹介する仕掛け。三味線、鼓、謡いの代わりに、ギターやらキーボードがバックを務めているのもいささか奇異。最近はこういう歌舞伎も増えているらしい。そう言えば、ゲタによるタップダンスシーンを取り入れて話題になった北野武の「座頭市」を思い出した。

「佐倉義民傳」_c0075706_10372213.jpg話は、佐倉領主の圧政に苦しんだ領民のために、将軍直訴の大罪を犯さざるを得なくなった名主の宗吾(勘三郎)を中心に展開されるが、随所に名場面を盛り込んで、途中15分の休憩をはさんでたっぷり3時間、笑いと涙と憤り要素満載で飽きることなし。舞台だけでなく、客席も縦横に使っての立体的な動きが新鮮だった。宗吾が追っ手から逃げ回るシーンでは、2階席の最前列まで勘三郎が上がってきてくれ、皆手を叩いて大喜び。

終演後のカーテンコールが歌舞伎らしくなく、痛快だった。
by grappa-tei | 2010-06-17 10:44 | 演劇・寄席


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