100329
原題:"UP IN THE AIR" 直訳すれば「大空に浮かんで」ということだから、この邦題の付け方はなかなか味がある。
ダウンサイズする企業に派遣されて、対象社員に退職を言い渡す仕事をなりわいとするライアン(クルーニー)。
今日も、カートを引いて、さっそうと空港へ。
なにしろ、年320日以上も出張だから、年柄年中全米各地を飛び回っている身。
そこそこ一流ホテル暮らしと、プラチナ・カードで、どこでも特別待遇。
この「カジュアルな」暮らしは悪くない。
だからオマハのアパートにある自宅はなーんにもない殺風景な場所。
特定の恋愛相手もいないし、家族とも一定の距離を置いている。
そんな「大事な」生活が、突如出現した大学出たての小賢しい小娘ナタリー(アンナ・ケンドリック)に脅かされそう。

何しろ、ライアンが務める会社の社長クレイグは、この心理学専攻の頭でっかち女の提案に大いに興味を持っているからだ。
な、なんとインターネットで首切り宣告をやらかそうという、途轍もないアイディア。
当然、生身の人間が直接対象者と面談して「宣告」する方がいいに決まっているのに!

チェックイン前に、「小娘」のスーツケースからキャスター付バッグへ詰め替え作業をさせるライアン。
枕やら要らないものはその場でゴミ箱行きの荒療治。
並ぶ時は、家族や年寄りの後ろには決して近付かないこと。
軽装で、靴もスリッポンのアジア人(日本人)の後ろが一番早い、
と言うライアンに「それって、人種差別じゃない!」と叫ぶナタリー。
ま、そんなことで、この小娘を連れて実際「首切り」出張に臨むことになり、ってんで、
その過程でスッタモンダがある訳だ。
★
もう一つ、ライアンの密かな楽しみはマイレージ1千万ポイント達成。
なにしろ、この「偉業」達成で、生涯特別待遇が保証されるわ、
銀のネームプレートを伝説的なセレブ機長から貰えるわ、その他モロモロ凄い特典がつくからだ。
だが、しかし・・・実際達成してみると、何か空しい、なにかが違うと思えてくるライアン。
やっと人と人のつながり、家族愛、もろもろの暖かい人間同士のしがらみ・・・などに思いが。
窓の外に広がる青空。
日本では考えられないような、多分アメリカ以外ではあり得ないシーンが興味深い。
首切り専門士を抱える企業って、アメリカ以外にもいずれ登場するんだろうか。
それも、機械にやらせようとするんだから、もう呆気にとられるしかない。
しかもそのシステム名が「ターミネーター」ですよ!
★★
予告編で見た時は、余り興味を抱くことはなかったのだが、
実際見ると、案外いろんなことが詰まっていて、結構最後まで興味深く見てしまった。
まぁ、佳作でしょう。
蛇足ながら、2010年アカデミー賞はノミネートだけだったが、
作品、監督、主演男優、助演女優(二人とも)と4部門に亘ったから大したもの。
また監督のジェイソン・ライトマンは33歳のカナダ人。
監督と女優という両親を持つサラブレッド。
#17(画像はALLCINEMA on lineから)