091215
本年最後の大学での講義を終えての帰路、東京駅で途中下車。
向かった先は京橋のブリジストン美術館。
開催中の「安井曾太郎の肖像画展」がお目当て。

この絵は彼の代表作の一つ「金蓉」。
本名小田切峯子なる純粋な日本人で、ハルビン在住時に父親が名付けた愛称とか。
支那服(パソコンでは、この支那を変換できないことに驚く。
ここでは正しい使い方だと思うが)を好んで着用していたらしい。
日本近代画壇で、肖像画部門では小磯良平と並んで好きな画家。
常設館に3点ほど静物と風景画があるが、やはり肖像画が巧い。
表情の捉え方が独特である。
フランス・ハルスやロートレックのように、いかにも筆さばきが早そうに見える。
しかし、1点仕上げるのに何カ月も、或いは1年以上もかかって完成の例も。
筆致は早くても、人物のバックグランドやらまで徹底的に研究するようだ。
でないと、これだけ特徴を捉えた描き方は無理だろう。
リアリズムだけでない、デフォルメに近い描き方も、この画家の特徴。
☆
常設にある梅原などは、ほとんどルノアールそのものとも言える描き方だが、
安井は独自の画風を編み出している。
太い筆でグイっとやる。
輪郭線もくっきり。
少しばかりフォーヴィズム的でもある。
とにかく素晴らしい作品ぞろい。
これでシニア600円だがから、ここは極めて良心的だ。
国立の美術館も見習ってほしい。
☆
館内に入ってしばらくは大変静かな雰囲気で見られたのだが、
暫くすると、俄かに騒がしくなった。
見れば、例によっておばあちゃん、おばちゃんたちがドヤドヤと。
まことにやかましい。
後で分かったことだが、ちょっとした団体。
出口近くに添乗員と思しきお姉ちゃんが待機していて分かった。
更に、外にでると、何とデラックスなクルーザー型バスが駐車している。
MITSUKOSHIの文字がデカデカ。
前に回ると、「フランス大使公邸で豪華のクリスマス・ランチを」の張り紙。
なるほど、この不況下だから、大のつくお得意様をご招待した、
とまぁこういうわけだろう。
百貨店業界もあの手この手を繰り出してのクリスマス商戦と見た。