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「いとしのエラ」

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 大学及び観光業界における先輩から、自ら翻訳したという当作品を謹呈してもらった。
 途方もないスケールの、女流カメラマンで詩人のスイス人女性、エラ・マイヤールの最晩年の姿を、また独特の死生観を、彼女の生き方に共鳴するアンヌ・ドゥリアという女性が、終の棲家となる神々しいばかりのスイスアルプス山中のシャンドラン村で、介護を通して、愛情溢れる筆致で描いている。

 1903年生まれというから、まさに20世紀そのものを、西洋から東洋へとユーラシア大陸を股にかけ、強靭な意志と並み外れた生命力で駆け抜けた巨人。静謐そのものの環境で過ごすその晩年は、まるで仙人のごとき哲学的、神秘的な言動で最後の光芒を放つ。

 これを読んで、ほぼ同世代を生きたドイツ人女性レニ・リーフェンシュタール(1902-2003)を思い出さずにはいられない。彼女は「民族の祭典」「美の祭典」という代表作のある映画監督であり、同時に舞踏家、女優、ダイバー、写真家というマルチ・タレント。エラとレニに共通する、森羅万象への飽くことなき好奇心や強靭な生命力は一体どこから来るのだろうか。西洋人独特のものと思えて仕方がないが。
by grappa-tei | 2009-06-12 08:36 | 読書


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