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おろしゃ国への旅

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              エルミタージュ美術館のある冬の宮殿

 4月2日から9日間、初めてC社のツアーでロシアへ出かけた。以前から行きたいと思っていた国だが、外国をよく知る友人・知人たちが余り勧めないので、躊躇していた。今回分かったのは、こうした友人・知人はソ連時代、或いは古いロシアしか知らない、時代錯誤に陥った連中だったこと。その後、全く様相が一変、、ホテルや食事、その他、いろんな点で西欧と変わるところがないのが現実。強いて挙げれば、サービスが多少もたつく程度。とりわけサンクト・ペテルブルクはしっとりとした古いたたずまいのある、魅力ある都会で、一遍に好きになった。そこに4泊、更にエルミタージュに6時間も過ごすのがこのツアーの優れた点。

 エルミタージュで過ごせた6時間は至福の時ではあったが、広すぎて、すっかりくたびれ果てた。3万歩は歩いた気分だ。著名な画家の作品満載だが、敢えて難点を拾えば、代表作と言えるものが少ないことか。ルーブルで言えば「モナリザ」、大英博物館ならロゼッタストーン、ウッフィーツィならボッティチェッリの「春」のような、一級博物館の持つ超目玉作品がない。レオナルドの「ベヌアのマドンナ」がそれに当たるのかも知れない。考えてみれば、ここは外国の美術品のみの展示であり、ロシア絵画はロシア美術館というように分けて展示しているから、こうした言い方はフェアではないかも知れない。ともあれ、作品もさることながら、宮殿そのものの価値が途方もないから、それだけでも十分過る。
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             冬の宮殿からネヴァ川越しにペトロ・パヴァロフ要塞を眺む。金色に輝くペトロパバロフスク大聖堂と鐘楼。ネヴァ川はまだ一部が凍結している。
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             対岸から見た冬の宮殿。貴婦人のような美しさ。お洒落な淡い色調が暗い空の下でも雰囲気を高めている。
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             ゴッホ作「あばら屋」
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                    ピカソ「アブサンを飲む女」

 印象派の作品群も大量にあるが、傑作と言われる作品はそれほど多くない印象。それよりヴェネツィア派(ティツィアーノ「ダナエ」など)やフランドル派、中でもレンブラントの作品は飛びぬけて多い。しかし、フェルメールは1点もない。収集時期と収集に当たった人物によるのだろう。イギリス、フランスの画家の作品は少ないようだった。またドイツ派の区画は閉鎖中。
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             日本海海戦で日本艦隊が撃ち漏らした3隻の一つ、「オーロラ号」が固定係留してある。韓国の某電気メーカーの巨大看板が邪魔。
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             市心にあるイサーク大聖堂内部。イコノスターティスにはマラカイトを惜しげもなく使った緑の柱が印象的。
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             市心から約1時間のところに皇帝の村ツァールスコエ・セローが。

 ここの見どころは何と言っても壮大なエカチェリーナ宮殿。第二次大戦中、独軍にかなり破壊され略奪されたが、琥珀の間(ここだけ撮影禁止)も莫大な費用をかけて修復し、一般公開されている。溜息の出るような豪華さ。
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              白い祝賀用の食堂。贅を尽くしたセッティング。
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                   回廊だけをこうして見ると、金色の額縁だけが見えて、一段と豪華だ。
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             大黒屋光太夫は1782年から10年、漂流後たどり着いたロシアで過ごしたが、最後はエカチェリーナ2世に直接謁見し、日本への帰国を嘆願している。井上靖の「おろしゃ国酔夢譚」に詳しいが、同名タイトルの映画の撮影はこの広間で。光太夫役は緒形拳、女帝には往年の名花マリナ・ブラディーが扮した。
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             ロシア料理と言えば、ボルシチ、ピロシキ、ビーフ・ストロガノフ、チキン・キエフぐらいしか知らないが、いずれも今回提供され、
           期待以上においしかった。中でもこのペリメニは形も味も水餃子そのものだ。
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             4日目の夕食は名前も「チャイコフスキー」と立派なところ。民族舞曲付き。動画はこちらを

 言ってみれば子供だましようなものだが、一同楽しんだ。最前列にいたため、踊りに引きづり込まれ、往生した。「ともしび」「カチューシャ」「カリンカ」「赤いサラファン」など定番も歌ってくれた。ここで一人抜け出して、マリインスキー・オペラ座へ。
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             店名"TCHAIKOVSKI"と肖像画、裏面にバレリーナの姿の入ったお洒落なウォットカ用グラスは200ルーブル(¥650)でしっかり手に入れた。
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             中央はメリベア侯爵夫人役のエレーナ・ツベトコーヴァ。覚えておきたいが・・・             

 演目は、ロッシーニの「ランスへの旅」というややマイナー作品で、余り上演されることがない。日本では昨年、新国立でやはり現代風演出で上演された。やたらに登場人物が多く、誰が主役なのか判然としないほど。他愛もない話なのだが、いかにもロッシーニらしい旋律が随所に。歌舞伎並みに中央に花道がしつらえてあり、開演前に出演者の一部がここを通って登場するわけだが、途中花道の上で聴衆と何やら冗談を言い合いながらという羽目の外し方。
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 しばらく舞台上で旅姿の男女ががやがややっていると、やおら指揮者がやはり花道から登場して、開演となる。驚いたのは、演奏中でも撮影するというマナーの悪さ。中には堂々とフラッシュまで焚くのがいる。更に後半が始まっているのに、ケータイで通話している豪のものまで。聴衆はほとんど普段着の地元の連中。愚亭の5列目18番というS席で日本円で約7500円だから、オペラは庶民が楽しむものとして定着している様子。
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            終演近く
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             1幕ものだが、20分ほどの休憩。1600席のホールにしてはバーが小さい。

 それでも立派なロビーがあって、何故かゆっくり左回りに談笑しながら移動して、嘗て出演した名歌手、名ダンサー達の写真などを覗いている。こういう楽しみ方は日本にはあまりないようだ。
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             さすがにテポドン打ち上げニュースは現地でも報道された。異国にいても、気がかりだ。
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             5日目はモスクワ郊外の「黄金の環」と言われる地区へ。まずはセルゲイ・ポサードを訪問。これはウスペンスキー大聖堂。

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             夕食は村の民家でご馳走になった。二人の娘と猫までが歓待してくれる。
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             スズダリの「温泉ホテル」のシングル。キングサイズ・ベッド。
 このような田舎のホテルは都市型ホテルにない良さがある。完全な山小屋風の仕様だが、装備品は完備。ロシア語オンリーなのが、やや辛いところ。でも、団員は皆大喜びだ。今回は15名で、内訳は夫婦1組、女性3人組、姉妹一組、男性二人組、女性個人参加2名、男性3名、全員ほぼ前期高齢者以上。つまり若い参加者は皆無。相当の美術愛好家ばかり。やはり「エルミタージュで6時間」が効いたようだ。
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              モスクワの「赤の広場」。意外に小さい。今日も天気に恵まれた。無風で寒さも大したことなし。
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            クレムリンのウスペンスキー大聖堂。

 かくして事故もなく全員無事予定通り帰国。モスクワからの帰国便、エコノミー・クラスはガラガラ。ほとんど全員が水平になってぐっすり眠れた様子。こうなるとエコノミーの方が寧ろ楽である。行程も食事も宿舎も天気も、団員もすべて良かったが、中でも特筆されるのは添乗員。50過ぎの男性だが、宗教を含む西欧文化、言語の変遷、人種の形成などに博覧強記ぶりをいかんなく発揮。愚亭も旅行産業に長らく身を置いたが、このような大学教授なみの添乗員に出会ったことはない。
by grappa-tei | 2009-04-12 11:46 | 旅行


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