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「ジャーナリズム崩壊」上杉 隆

 著者は最近レギュラーでテレビ番組にも出始めており、知名度が上がっている福岡県出身の40歳。衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者を経て、フリーランサーへ。この作品では、世界に悪名を流している日本独特の「記者クラブ」制度を徹底的に掘り下げて、問題点をあぶり出して見せてくれる。愚亭などが知らないことのオンパレードだ。

 これを読むと日本の、特に政治記事には真のジャーナリズムが存在し得ないことがよく分かる。それでなくても、海外の新聞に比べれば、部数だけがやたらに多いだけで、個々の新聞の主義・主張が薄く、どれも似たような内容(「産経」は別だが)にならざるを得ない、その諸悪の根源がこの「記者クラブ」にあるようだ。外国人記者やフリーランサーには頑迷固陋にも排他主義を貫いて憚らない。

 「仲間はずれ」が恐ろしく「メモ合わせ」と称して、一斉に同じ記事を書く。最後に著者が、「永田町・マスコミの敵」で「史上最低のジャーナリスト」と言われようとも、権力とメディアとの良質な関係を構築しようという意思だけは誰にも負けないと自負するところで終わっている。

 結局のところ、教師や医者同様、新聞記者もサラリーマン化して、独自の視点でのいい記事が書けないという状況だとすれば、余りにも情けない。

by grappa-tei | 2008-11-01 12:34 | 読書


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